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Quasi Alice Build Log

Quasi Alice Build Log

2022/4/3

またまた以前組んだキーボードのビルドログ。今回はSplit ASK v2でデザインを参考にさせていただいたQlavier氏のキーボード(ケース)、Quasi Aliceである。

Alice Keyboard

Aliceという配列のキーボードの種類がある。

What are Alice Keyboards?

60%のWKL配列をベースにしつつ、中央部分のキーに角度がついているのが特徴。一体型キーボードと左右分割キーボードのちょうど真ん中みたいなキーボードで、見た目の良さとエルゴノミクスが両立した人気の高いレイアウトである。

[GB] TGR-Alice – 100% Completed

このTGR Aliceが最初。ちなみにこのレイアウトの元祖はEM7というキーボードらしいが、今ではみんなAlice配列と呼んでいる。

Quasi Alice

Quasi Aliceは、そのAliceのPCBを使ったキーボードケース。Qlavier氏ならではのアクリル積層ケースなのに高級感があるデザインがとても素敵。以前ネットで見かけて以来ずっと欲しくてたまらなかったが、運良く購入するタイミングに恵まれ、入手することができた。

ちなみにQuasi Aliceを入手したのは2020年9月だが、組めたのは2021年10月。そしてこのビルドログを書いているのが2022年4月。色々と時空が歪んでいる。

PCBの入手

Quasi Aliceはあくまでケースなので、キーボードとして組み上げるにはAliceのPCBを入手する必要がある。最近はどうか分からないが、当時はAliceのPCBは軒並み売り切れており、入手するのが非常に困難だった。
途方に暮れていたが、Self-Made Keyboards in JapanのDiscordでダメ元で聞いてみたところ、運良くWonderlandというAlice互換のPCBを譲っていただけた。

ということでビルドログです。

Quasi Aliceのビルドログ

これがQuasi Alice。写真にはないが真鍮のプレートもある。

こちらがWonderlandのPCB。

まずはスタビライザーをLube。Polarisを組んだときに多めに買っておいたZealのTransparent Gold Plated Screw-in Stabilizers V2Krytox GPL 205 Grade 0でLubeした。

また、今回はスタビライザーの軸がPCBに当たるときの音を改善すべく、写真のようにマスキングテープを切って二重にして、スタビライザー取り付け部分に貼り付けた。バンドエイドを代わりに使うことが多く、Band-aid Modなどと呼ばれている。

キースイッチはDrop + Invyr Holy Pandaにしてみた。スプリングはKrytox GPL 105、ハウジングとステムはTribosys 3204でLubeした。

さて、ケースの組み立て。スタビライザーを取り付けたPCBに、アクリルプレートを乗せる。

その上から真鍮プレートを乗せて、キースイッチを嵌める。プレートとPCBの間にアクリルプレートが隙間なく挟まることで、打鍵音を向上させようとしていると思われる。

キースイッチをはんだ付け。

残りのプレートを重ねていく。

底面。写真を撮るのを忘れたが、ゴム足を忘れずにつける(ネジが机に当たって机が傷だらけになるので)。

キーキャップをつける前だが、すでに佇まいが良すぎて写真をいっぱい撮った。美しい……。

キーキャップはDrop GMK White-On-Black。GMKならではの質感の高さと、たいていのキーボードに似合う汎用性最強のキーキャップである。
取り付けて、完成!


ついにカスタムUSBケーブルも入手した。SummitcablesのArtisan Cable。Summitcablesは今はもうなくなってしまったが、質感も作りも非常に良く、大変満足している。

Quasi Aliceは、本当にアクリル積層ケースとは思えない質感の高さと高級感がある。半透明のアクリルからうっすらと見える真鍮プレートの色がまた良い。購入時にクリアのアクリルも選べたが、半透明だと指紋なども目立たないし、こちらにして良かった。

今回はスタビライザーとキースイッチのLubeも無事に成功したので、打鍵感はとても良い。スタビライザーのBand-aid Modも効いている気がする。アクリルケース + 真鍮プレートはソフトな打鍵感が味わえるので、底打ち感が苦手な人には良いと思う。
Holy Pandaは噂に違わぬ打鍵感の良さだが、押下圧が67gと結構重い。長時間タイピングしていると少し手が疲れる感じがあるが、タクタイル感はなかなか心地よい。Lubeのおかげもあると思うが、キーが滑らかにスッと沈み込む感触が気持ちいい。

打鍵音でいうと、正直なところアクリル積層ケースの限界という感じがする。甲高い音が響く感じがあり、アルミ削り出しケース + 真鍮ウェイトのPoalrisと比べると流石に劣るなという印象。まぁあちらはキースイッチが静音タクタイルのZealio v2だからというのもあるけど。
PolarisにHoly Pandaをつける、もしくはQuasi AliceにZealio v2をつけてみて打鍵感と打鍵音を比べてみたいと思いつつ、どちらのキーボードもホットスワップには非対応なので、はんだ付けをやり直すのが面倒だなぁと思ってできていない。

ちなみに、憧れのAlice配列を初めて使ってみたが、正直ちょっと使いにくいなという印象。HHKBの配列に慣れすぎているというのもあり、Cmdの横にOptキーが欲しい。
あとは一番左に3つキーがあり、それをEscやTabとよく間違えてしまう。この3つのキーが無かったらあと数センチはキーボードがコンパクトになるのにな……と思わずにはいられない。
もちろんそういう配列を実現したAliceクローンのキーボードもあるが、あくまでオリジナルのAlice配列の評価ということで。
キーが斜めになっていることで自然と手と腕が斜めになる、つまり肩が開くので、肩こりが軽減されるところはとても良い。一番最初にも書いたが、まさに左右分割キーボードの良いところを取り入れた一体型キーボードという感じである。


以上、Quasi Aliceのビルドログだった。

音と配列に関しては少し辛口だったが、打鍵感は非常に良いし、なによりキーボードとしてのデザインが最高に自分好みなので、とても気に入っている。