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Split ASK v2 (Split 60% Apple Standard Keyboard with Acrylic case)

Split ASK v2 (Split 60% Apple Standard Keyboard with Acrylic case)

2022/3/17

Split ASK v1 (Split 60% Apple Standard Keyboard)

2019年に作ったSplit ASK(Apple Standard Keyboardのキーキャップとキースイッチを使った60%左右分割キーボード)のv2を作っていたので、めちゃくちゃ今さら(なんと約2年半越し)だけど、それについて書く。
前回の反省点を改善したキーボードで、なかなか満足のいく出来になった。

前回の反省点

Split ASK v1

v1の投稿にも書いたが、そもそもv1の何がいまいちだったのか。

トッププレートとボトムプレートをステンレスにしたこと

v1は基板をトッププレートとボトムプレートで挟み込むいわゆるサンドイッチマウントで作った。この両プレートをステンレスにしてしまったせいで、打鍵感が固すぎて指が痺れる感じがあってあまり良くなかった。

打鍵音がうるさい

ベゼルレスなサンドイッチマウントにすると、プレートと基板の隙間から打鍵音が漏れまくってしまう。ALPSキースイッチはただでさえうるさいので、つまり尋常じゃなくうるさいキーボードが出来上がってしまった。

…と、大きくこの2つが気に入っていなかったので、これらを解消するようなブラッシュアップをおこなうことにした。

方針

  • v1のPCBを使い回す
    • 最低発注数の兼ね合いで基板が余っていたという事情
  • アクリル積層ケースでPCBを囲う
  • トッププレートは真鍮にする

こんな感じ。

アクリル積層ケース

うるさい打鍵音をなんとかするべく、筐体にベゼルをつける、つまりケースを用意することにしたが、この時はどういう風にケースを作るべきなのか全然分かっていなかった。
3Dプリント?もしくはアルミ削り出し?そんなのができる知識も技術も費用もない。そんな中で、アクリルプレートを重ねて立体的なケースを作れることを知った。

https://www.instagram.com/p/B07jom1o0Kd/

qlavier氏というキーボードデザイナーの方の作品。めっちゃくちゃ素敵なデザインのキーボードで、初めて見た時は感動した。アクリルの下に透けて見えるトッププレートの真鍮が綺麗。トッププレート右下はAppleのロゴの形にくり抜かれていて、その下に見えるグリーンのPCBが良いアクセントになっている。

これを丸パクリ……というわけでは決してないけど、盛大にオマージュさせていただくことにした。

アクリル積層ケースの設計

さて、ケースを作る。今回もIllustratorで作成。

全レイヤーを重ねているので分かりにくいけど、オレンジがトッププレート。その下に薄く見えているグレーのやつがPCB。ブルーがトッププレートより上のパーツで、ピンクがトッププレートより下のパーツ。
左上にはアクリルプレートの厚みの計算をしている痕跡がある。

トッププレートより上のパーツだけ表示したもの。これがキースイッチの外周を囲うベゼルになる。キースイッチの高さを考慮して、3mmのアクリルを3枚重ねることにした。上から下にかけて少しずつ幅を太くしている。

トッププレートだけ表示したもの。キースイッチをこのトッププレートに嵌めて、キースイッチはPCBに挿し、はんだ付けする。PCBをトッププレートで吊っているようなイメージ。qlavier氏のキーボードに完全にインスパイアされたアップルロゴのくり抜きもある。

トッププレートより下のパーツだけ表示したもの。TRRSジャックとPro Microの厚みを考慮すると、3mmのアクリルプレートを5枚重ねる必要があった。
打鍵音を削減するために、TRRSジャックとPro Microの箇所以外はアクリルをくり抜かないようにして、なるべく音が逃げないようにした。

こんな感じでケースの設計は完成!

発注

真鍮トッププレートは例によってLaserBoostに発注。アクリルプレートのカットはElecrowに発注した。
基板やその他のパーツはv1のものを流用。

組み立て

無事に届いたトッププレートとアクリルプレート。ちなみに、アクリルプレートの保護シート?を剥がすのが、パーツ数が多いのでめちゃくちゃ大変だった。

例のごとくダイオードとTRRSジャックのはんだ付け。

トッププレートにキースイッチをはめる。v1はSKCM Salmonで組んだが、v2はSKCM Orangeにしてみた。サーモン軸を取り外すのが面倒だったというのもある。

PCBをキースイッチに挿して(逆か?)、はんだ付け。

アクリルプレートを重ね合わせてケースを作っていく。金色の棒は黄銅スペーサー。

下部アクリルパーツの上に、トッププレート達を載せる。

…あとは丈夫アクリルパーツを載せて、ネジを留めて、キーキャップをはめて……という手順なんだが、なんと写真を撮っていなかった。ということでいきなり完成後の写真を以下に載せる。

完成!

感想

まず見た目が良い

qlavier氏のデザインを真似させてもらったから当然ではあるが……。見た目がとても気に入っており、所有欲が満たされる。
v1みたいにベゼルレスでミニマムなデザインも嫌いではないけど、やはりベゼルがあるこのv2の方が「キーボード感」はあるなぁと思う。

打鍵感が良くなった

トッププレートが真鍮、筐体がアクリルということで、v1のステンレスと比べるとかなりソフトな打ち心地になった。指にかかる衝撃がかなり和らいでいる印象があり、大変満足。ただ、もしかしたら人によっては柔らかすぎると感じるかも知れない。

打鍵音も良くなった

v1のときは単純にうるさかったのと、ステンレスのプレートのせいなのか、「シャキッ」という感じの金属っぽい音がするのが結構気になっていた。v2はベゼルがあるのに加えて、キースイッチの下部の隙間をなるべく少なくなるようにケースを設計したので、漏れる音がかなり減っている印象。音も「カシャッ」という感じの、オリジナルのApple Standard Keyboardの音に近づいている……ような気がしないでもない。

“”上””が気になる

アクリル積層ケースは、まぁぶっちゃけると、所詮アクリルという感じではある。剛性も低い感じだし、打鍵音もサンドイッチマウントよりは圧倒的に良いが、めちゃくちゃいいというわけではない。
「もしこれがアルミ削り出しのケースだったら、どれだけ素晴らしい打鍵感・打鍵音なんだろう……」というのはどうしても考えてしまう。


……と、上を見ればキリがないが、2019年の僕にしては上出来なキーボードが出来上がったんじゃないかなと思う。

この次……はなく、Split ASKの改良はここでおしまい。その後はアルミ削り出しキーボードを作ろうとして挫折したり、カスタムキーボードにハマったりしている。また機会があれば書こうと思う。