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Leica SUMMILUX-M f1.4/50mm 1st Later

Leica SUMMILUX-M f1.4/50mm 1st Later

2020/2/16

2018年に買った、50mmのズミルックス。M9-Pに付けっぱなしにして2年弱が経った。

M9-Pには、ボディを購入したときに一緒に買ったVoigtländer COLOR SKOPAR 35mm F2.5 P II、その後に買ったLeica SUMMARIT-M f2.5/35mmM4を購入したときに一緒に買ったCarl Zeiss Planar T* 2/50 ZMを付けていた。

COLOR SKOPARは軽量コンパクトだけど暗いのと35mmが苦手なのですぐに使わなくなった。SUMMARITは憧れのLeicaレンズということで頑張って購入したが、特にいいところを見つけられず。というかこれも35mmだし(なんで50mmにしなかったのか)。
Planarはよく使った。やはり僕は50mmが使いやすく、本体の質感やピントリングの滑らかさも気に入っていた。もちろん描写も、ツァイスらしいハイコントラストで濃厚で現代的な写りをしつつも、どこかオールドレンズの風合いのあるノスタルジックさが見えて良かった。

Leica M9-P w/ Voigtländer COLOR SKOPAR 35mm F2.5 P II
Leica M9-P w/ Leica SUMMARIT-M f2.5/35mm
Leica M9-P w/ Carl Zeiss Planar T* 2/50 ZM

しかし、Planarを使えば使うほどLeicaの50mmが気になってしまう。同じスペックのSUMMICRON 50mmはどうだろうとか、F1.4のSUMMILUXはどうだ、いやいっそのことF0.95のNOCTILUXか、いやいや買えるわけないだろう……。みたいな。
みんなそうだからね、しょうがないよね。


さて、SUMMILUXは現行の第4世代まである。第1世代の前期は「貴婦人」と呼ばれ、鏡胴は工芸品のような素晴らしい作りらしい。その名の通り柔らかい描写。
第1世代後期からレンズの設計がアップデートされ、画質が向上した。第1世代後期、第2世代、第3世代はどれも設計は同じで、本体の作り以外は変わりがないとのこと。
詳しいことは以下を読めば全部分かる。

ライカを買おう ライカを学ぶ レンズ解説 Mマウント 50㎜

アスフェリカルの4thは値段が高すぎるし、作例を見てもその現代的すぎる写りがあまり気に入らなかった。1st前期は少し描写がオールドすぎると感じて、同じレンズ設計の1st後期・2nd・3rdでどれを買うか悩んだ。
ボディの作りはおそらく1st後期が一番。Leicaは昔の製品の方がコストがかかっていて質感が良い。2nd、3rdは設計こそ同じだろうけど、新しいほうがレンズの状態もいいだろうし、コーティングも優れていそう。
そして、3rdから最短撮影距離が70cmになる。それまでは1m。50mmの焦点距離での30cmというのは結構大きくて、70cmだとテーブルで料理や向かいに座っている人の写真を座ったまま撮れるけど、1mだと椅子から立ち上がって少し後ろに下がらないといけない。

最初は最短撮影距離を重視して3rdが第1希望だったけど、生産数が少ないためなのか人気だからなのか、どこのショップにも在庫が全然なかった。なので悩んだ末、第1世代後期を買った。
SUMMICRONにも気になったけど、SUMMILUXの開放付近での柔らかい描写に惹かれたし、M9-Pは好感度がとても弱いカメラなので、少しでも明るいレンズの方が撮れるシチュエーションが広がるかな、と思ったのでSUMMILUXにした。NOCTILUXは買えません。

やはりレンズの作りは素晴らしい。PlanarやSUMMARITよりも明らかに手にしたときの質感がいい。所有欲が満たされる。

XOOIM(12521)という専用レンズフードも付属してきた。装着すると全長は伸びるけど、このルックスがたまらなくいい。

XOOIMをつけるとレンズ付属のレンズキャップはつけられなくなってしまう。XOOIMにはフードキャップが付属していて、このようにフードを逆さまにしてレンズに装着してキャップをつける。

ちなみに、シリアルナンバーから製造年を調べられるんだけど、このズミルックスは1961年に作られたものとのこと。59年前、来年で還暦。僕の倍くらい生きている大先輩レンズである。


さて、ズミルックスの描写だけど、やはりまずはボケが綺麗。Planarは背景が少しごちゃつく印象があったけど、ズミルックスはすごく滑らかにボケる。

そして何より驚いたのはその階調の豊かさ。

これは何てことはない写真なんだけど、木々や空の色が実に豊かでびっくりした記憶がある。今まで使ったことのあるレンズでは絶対に撮れなかった写真。
この時から、描写の良し悪しは解像度ではなく階調だと考えるようになった。
単純に解像感で言えば、このときは真夏の快晴ということもありかなり絞っているので、オールドレンズとは思えないシャープさ。

色がぶっ飛んでいるのはM9-Pのせい。この時折見せるド派手な色がいい。

F4以上なら現代のレンズにも劣らないシャープな写り。

夕暮れ付近の描写は、しっとりとしていてとてもいい。ただ解像度の高いレンズではこうは写らないんじゃないだろうか。その時のその場所の空気がなんとなく伝わるような、そんな感じがする。

もちろん日中もよく映る。

こういうアンダーな写真も良い。空気の重さや湿度が感じられる。

ここで見せられる写真はあまりないけど、人を撮るとズミルックスの良さが一段と出ると思う。階調がある一方で、絞らなければソフトな写りと、周辺減光などの歪み。それが人物を引き立たせているのではないだろうか。
それにしてもM9で彩度の高い色を撮ったときのサイケデリックさは本当に最高。

モノクロもいい。M9は高感度があまりに弱いので、夜や室内ではモノクロにするといい。モノクロならISO感度を上げてノイジーになっても気にならないし、逆に味になる。

そしてやはり特筆すべきは、F1.4付近の描写。よく言えばベールのかかったようなソフトでシルキーな写り、悪く言えばオールドレンズらしいぼけぼけの写り。僕としてはたまりません。
F2くらいまで絞れば描写はだいぶ改善するし、上にも書いたようにF4以上ならとても現代的な写りをする。その二面性が良いのである。その階調の豊かさと柔らかい描写で、まるで絵画のような写真が撮れる。


というわけで大いに気に入っている。

しかしやはりいつも思うのは、「あと30cm寄れたら…」。
となるとSUMMILUX 50mmの3rdか4thしかないわけで、でもそうするとこのレンズ本体の質感とその描写は失われてしまうわけで。悩ましい。

愛犬。